Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第4章 相棒
「あれ……?」
リノと戯れている途中、ふとハンジの方を見るとリヴァイが立っていた。
何故、彼がここにいるのだろう。疑問を感じたが流石にこのまま無視するわけにもいかない。
エミリはリノから降り、手綱を引いて二人の元へ歩み寄る。
「リノとは随分と仲良くなったようだね!」
「はい! ところで……」
ハンジからリヴァイへ視線を移す。勿論、目が合った。表情が読み取りづらくどう反応すれば良いのか戸惑う。
敬礼か、それとも、こんにちはと声をかければ良いのか、もしくは会釈。
(なんか……どれも返ってくる反応微妙そう……)
というよりも、何故自分は、こんなことで悶々としているのだろう。とりあえず二番目に浮かんだこんにちはを選択しよう。そう思って口を開きかけた時、
「あ、リヴァイのこと気になる?」
ハンジが助け舟を出してくれた。エミリは、出しかけた言葉を慌てて飲み込む。
「そりゃあ、そうだよね〜! リノに乗ってる間になんかいつの間にか人が増えてるんだから驚くよね」
「……え」
エミリは呆けた。
人が増えていた、ということを聞きたいのではなく、何故リヴァイがここにいるかが知りたかっただけだった。特に意味は無いが、単なるエミリの好奇心だ。
「ああ、分かってるよ! リヴァイも愛馬に会いに行ってたみたいだよ。そう言えば、丁度食事の時間だしね」
「そういうてめぇは自分の馬に餌をやったのか」
「あはは〜まだだ!」
「自分の馬だろうが。何してやがる。さっさと行け」
「イタイイタイ!! 首がぁ!!」
相変わらずマイペースなハンジの頭を鷲掴みし、グキッと後ろへ向けさせようとする。見ているだけでも痛そうだった。
「わ、分かった分かった!! 今からちゃんとあげに行くって!!」
「そう言って、てめぇはいつもモブリットに任せきりだろうが」
リヴァイの言葉にエミリは心の中でモブリットに同情した。マイペースな上司を持つと大変そうだ、と。
(ハンジさんって、別に悪い人じゃないんだけどね……)
ただ巨人のこととなると周りが見えなくなるだけ。それだけだ。
心の中で呟くエミリは、遠い目をしていた。