Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第15章 賢者
「綺麗な石ね」
エミリの隣から覗き込み、その輝く石に魅了されたペトラは、うっとりと目を細めて見ていた。
「……これ、シトリンだ」
手のひらに乗せたブレスレットを見つめながら、小さな声でポツリと零した言葉に、「シトリン?」とペトラが同じ単語を口にする。
「うん、宝石の名前のこと。ペトラは聞いたことない?」
「うーん……あるような、ないような……でも、トパーズとすごく似ているのね」
「ああ、シトリンとトパーズってよく似ているから間違われやすいんだよね」
シトリンは水晶だが、皆がよく知るトパーズは玉であり、二つは全く別の宝石だ。また、硬度もシトリンよりトパーズの方が硬い。
「トパーズの特徴は、やっぱり色がたくさんあることかな」
黄色っぽい色が基本とされがちだが、他にもレッド、ピンク、ブルーなど様々な色を持っている。
「あと、トパーズには誠実とか希望って意味があって、勇気を持って未来に進むためのサポートをする石って言われているの」
トパーズ全般で最も特徴的な特性としては、人の縁や仕事など自分が望むもの、持ち主にとって必要なものと出会わせてくれる石であるという事だ。
また、直観力と洞察力を高め、曖昧な物事をはっきりさせ、自分が本当に何を必要としているのか、何を見るべきなのかが分かる、そういうサポートをしてくれる石と言える。
「だから、トパーズは未来に対して希望をもたらしてくれるの」
「へぇ。じゃあ、そのシトリンは?」
「シトリンは、太陽のエネルギーを取り込んだ『太陽の石』と言われていて、他にも商売繁盛と富をもたらす『幸運の石』として大切にされてきたの」
太陽のエネルギーを持つシトリンは、希望や勇気などの明るいエネルギーをもたらしてくれる。
「後ろ向きな人なんかが身につけることで、明るく太陽のような性格になるよう手助けしてくれるんだって」
夢や目標を叶えるため、自分自身の意見をしっかりと持って、前進するための努力を続けられるように、勇気づけ、サポートしてくれるだろうと言われている。