Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第4章 相棒
「はい、これがエミリの制服だよ」
「あ、ありがとうございます……!」
ハンジから制服を受け取ったエミリは、それを広げて見る。
憧れの自由の翼の紋章。とうとう、これを羽織る日が来た。エミリは目をキラキラと輝かせ、そして、それを身にまとった。
「うんうん! 似合ってるよ!」
「ど、どうも……」
何だか気恥しかった。それでも、嬉しさの方が何倍も大きかった。
これを羽織って、壁の外に出られる。
憧れの自由の翼を背に、自由のために戦うことができるのだ。
「ハンジ分隊長、私、頑張ります!!」
「あはは、エミリは本当にいつも元気だね〜」
「え?」
いつもって? 今日初めて会ったばかりなのに?
首を傾げるエミリから疑問を感じ取ったハンジは、ニコニコしながら答える。
「いや〜実は昨日の歓迎の宴で、エミリ達四人が騒いでいる所を見ててさ〜元気だなあって」
あはは、と呑気に笑うハンジの発言に、エミリは固まった。
(み、見られてた……!?)
上官の前で何たる失態を犯してしまったのだろう。あんなみっともなくガミガミ怒鳴る姿を見られるとは……
「お、お恥ずかしいところを……」
「そんな気に病むことないよ! 元気なのはいいことなんだかさ!!」
「そういう意味では無くてですね……」
これはよくあることだった。
熱くなるとすぐに衝動的になるこの自分の短所に長年悩まされ続けていた。
フィデリオとケンカをして冷静になった後、いつも恥ずかしい思いをしてきたというのに、いつになったら学習するのだろうか。この頭と心は……
「さて、次は君の相棒を選びに行こう」
「選ぶ、ですか?」
「そう! 馬と人間にも、相性というものがあるからね。お互いが納得しなくちゃ意味無いでしょ?」
「確かにそうですね……」
馬と言えど生き物。小さな命。人間が独断で何でも選んでいては、動物の尊厳というものが無くなる。
エミリはハンジに連れられ、馬小屋へと足を進めた。