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Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第15章 賢者




ゴーン……ゴーン……


「……っ!?」


鐘の音にリヴァイはバチリと目を開けた。映るのは自室の天井。彼の体を覆っているものは、いつも使っている布団だ。
まだぼんやりとした意識のまま、リヴァイはゆっくりと起き上がり、そして、盛大に溜息を吐いた。


「……なんってぇ夢だ……」


前髪を右手で掻き上げ、舌打ちを鳴らす。
夢にまでエミリが現れてくるとは。しかも、あんな恋人のようなやりとりまで……


「……欲求不満か、俺は……」


そう呟いて思い出す。そう言えば、エミリと関わるようになってから女を一人も抱いていないということに。


(……最後は、いつだった?)


それすらもあやふやだ。何とかして思い出そうと試みる。

エミリが初陣として壁外調査を終えた後は、部下がリヴァイの元へ訪れてきた記憶があるため、その時ではない。
ということは、エミリが失恋した辺りからだ。よくよく考えてみれば、あれから半年以上経っている。まさか、この夢はその影響ではないだろうか。


「……オイオイ、ふざけんじゃねぇぞ……」


先月の三兵団合同会議のため宿に泊まった時、そこでリヴァイはエミリに対する自分の気持ちを自覚した。生まれて初めて恋をした。

彼女を好きになったリヴァイの心はエミリ一筋だ。これから先ずっと……
ただ、ここで問題が発生した。

あれから約一ヶ月。日に日に想いは募るばかりだが、告白するつもりはまだ無い。けれど、いつか自分を制御できなくて手を出してしまうかもしれない。今日の夢はそれを予感させた。


「はぁ……めんどくせぇ」


恋をするのは構わないが、色々と我慢するのもかなり堪える。だけど、できるだけエミリを悲しませたくはない。ならば、リヴァイが我慢をする以外に方法はないのだ。


(それか、もう好きだと言っちまうか…………いや、駄目だ)


意志が揺らぎそうになるも懸命に踏みとどまる。エミリを落とすには、長い時間を掛けなければならない。ここで自分が折れてしまっては、振られるのが目に見えている。

リヴァイは気持ちを落ち着かせるために、部屋の窓を開ける。朝の綺麗な空気を吸い込み、兵団服に着替えた。

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