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Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第15章 賢者


フワフワとした足元の柔らかい感覚に、リヴァイはそっと瞼を上げた。見知らぬ場所に、彼方此方視線を動かして状況を確認する。けれど、前も後ろも頭上も全て真っ白。謎の空間にリヴァイは立っていた。


(……夢か?)


その割りには意識がハッキリとしすぎている気もするが、これは夢だとしか思えない。
足元へ視線を下ろすとパステルカラーの柔らかいクッションが敷き詰められているのが目に映る。それ以外はただ白いだけ。

この謎だらけの世界に、普通なら気味悪く感じるところなのだが、リヴァイの気持ちはどこかフワフワしていた。

いつになったらこの夢から覚めるのだろう。
首を傾け仁王立ちしていると、突然クイッと服が後ろに引っ張られる感覚に、ビクリと体が跳ねた。
全く気配など感じなかったのに、いつの間に背後にと正体を確認しようと振り向こうとした時だった。


「リヴァイ、兵長」


リヴァイが正体を確認する前に名を呼ばれる。その声には聞き覚えがありすぎて、リヴァイは警戒心を解いた。


「……エミリ」


ゆっくりと振り返れば、エミリがリヴァイの服を人差し指と親指で摘んで、優しく微笑んでいる。正体は彼女だった。


「兵長……兵長は、私のこと好きですか?」


エミリが少し瞳を潤ませリヴァイを見つめる。そんな彼女の髪に触れながら、リヴァイは優しく額にキスを落として素直に答えた。


「……ああ、好きだ」

「わたしも、ですよ」


リヴァイの返答に、エミリは頬をほんのり赤く染めて微笑む。そんな彼女の反応にドクンと心臓が脈打つのを感じながら、リヴァイはその体を自分の胸へと抱き寄せた。


「……兵長」

「何だ?」

「わたし、兵長と……キス、したいです」


リヴァイの胸に顔を埋めていたエミリが、顔を上げてモジモジと体を揺らしながらリヴァイに訴える。彼女のその姿と欲求に、胸に熱いものが込み上げてくるのを感じながら、リヴァイはエミリの顎に手を添えた。


「エミリ」

「……リヴァイ、へーちょう……」


見つめ合い、互いの名を呼び合う。目を閉じるエミリにリヴァイはゆっくりと顔を近づけ、そして──

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