Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第14章 傷跡
結局、それだけでは事が収まらず、教官が間に入って話し合いにまで発展した。
その時、新しい班で一緒になった他の三人も中立を名乗って話し合いに参加した。
「だけど……中立だなんて、口だけです。三人とも彼女のそばに座って、私はひとりでした」
4対1。女子の揉め事ではよくある大人数対少人数の構図が簡単に出来上がっていた。
だが、それは、ガウナと問題が起きた時から既に成り立っていた。
確かにその三人は、エミリの話や意見も聞いてくれた。けれど、それ以外は常にガウナと行動を共にしていた。
エミリのそばに居てくれた人なんて居なかった。
ずっと、ひとりぼっちだった。
だから、別の友達に話を聞いて貰った。
もう、限界だった。
ひとりで抱えきれなくて、心が押しつぶされそうだったから。
「そしたら向こうは……『そうやって友達や教官にすぐ頼ろうとする所がムカつく』なんて言ってくるんです……でも、そんなの、不公平ですよ」
中立を名乗った三人はガウナと一緒に固まって、エミリはひとり。
それなのに、向こうは仲間がいるクセに、何故こっちは誰かを頼ってはいけないのか。
「あんたはいいよね。だって三人も仲間がいるのに……って、ずっと心の中で思ってました。でも……! 言えなかったんですよ!!」
理不尽なことを言われても、それでも何も言い返せなかった。
それは、まだ……エミリの中にあの子を傷つけた罪悪感が強く残っていたから。
また、それはそれで別の問題なのかもしれない。それでも、その申し訳ない気持ちが心に引っ掛かって、何も言い返せなかった。
言えなかった。
言い返しておくんだったと何度後悔しただろうか。