Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第14章 傷跡
暫くは、罪悪感に苛まれ、周りから冷たい言葉と視線を浴びせられる日々が続いた。
毎日、訓練に出席するのも辛かった。だけど、逃げては駄目だと言い聞かせ、必死に耐えた。
それらが起きたのは、訓練兵に入って二回生の時だ。
三回生になる前には、陰口も収まり強い視線を浴びせられることもなく、エミリにも普通の日常が戻っていた。
そして、三回生になって班が変わった時、また問題が起きた。
「新しい班で、私は仲の良い女子たちと同じ班になりました。四人いました。特に、その中の一人は訓練兵団に入って初めて出来た友達がいたんです」
ガウナという名の女の子だった。ガウナとはよくお喋りしたり、お昼も毎日一緒に食べたり、すごく仲が良かった。
でもある日、違和感を感じた。
ガウナと新しい班になってから、エミリから話しかけることはあるものの、向こうから話しかけて来ることは無かった。他の三人とは会話をするのに。
「気になった私は彼女に聞いたんです。どうして、私に話しかけてくれないの? って。そしたら……」
ガウナは迷うことなくはっきりと言い切った。
『あの子を傷つけた時から怒っている』と。
「その二人、とても仲が良かったみたいで……だから、私が傷つけたこと根に持っていたらしいです」
当人ではなく、その友達であるガウナが引きずっていた。
しかも、その話を持ち出された時、あの事故から八ヶ月以上も経っている。まず、解決のしようがない。
エミリはすごく動揺したし、正直に言って今更の話だ。それを持ち出された所で対処方なんてあるわけがない。
それでも、エミリはガウナに謝った。
八ヶ月以上も前のことだが、あの子を通して傷つけてしまったことに変わりはないから。
「……ガウナは終始大きな態度でいました。私の話を聞くのも面倒だったんでしょうね……それでも、私はガウナに謝りました」
でも、解決しなかったし、そもそも解決云々の話ではなかった。