Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第14章 傷跡
勉強道具と教材を広げてエミリが勉強していると、コンコンとノックの音が部屋に響き渡る。
「エミリ、入るぞ」
「えぇ!? へ、兵長……ちょっと待っ」
ガチャリと扉が開いた。
リヴァイとバチッと目が合う。
そして、リヴァイの視線はそのままエミリから机の上へ移動した。途端、すっと目を細めてズカズカと歩み寄って来るリヴァイに、エミリは冷や汗を流した。
「……いや、あの、これはですね……」
「エミリよ、俺は確か勉強せずに休めと言ったはずだが?」
「は、ハイ……仰いました、ね……」
「この勉強道具と参考書は何だ?」
尋問されている気分だ。どう答えようか迷っている間も、リヴァイの鋭い目がエミリを見下ろしている。
「……あ、あの……」
余計なことを考えないため、なんて答えられる訳が無い。更に問い詰められるだけだ。
あたふたしていると、リヴァイはまたもやエミリの首根っこを掴み上げる。
「うわ〜ん!! 今度は何でボヘッ!!」
強い力で引き摺られたエミリはそのままベッドに投げ飛ばされた。それによって、可笑しな声が出てしまうがそれは仕方が無い。
「い、いきなり何するんブッ!」
今度は喋っている途中に掛け布団を投げつけられ、そのまま頭が枕の上に倒れ込む。
そして、頭に布団が掛かった上から枕に押さえつけられ、エミリはじたばたと暴れる。
「さっさと寝やがれ馬鹿が」
「ボバヒバヒバ〜!!」
「あ? 何言ってるか全くわかんねぇなあ」
だったら頭を押さえつけるの止めてくれと懇願したいがそれもできない。
息も苦しくなってきたため、仕方なく暴れるのを止めた。
「ったく、最初から言うことを聞いておけ。馬鹿が」
「……また馬鹿って言った」
「あ?」
「何でもありません」
布団から顔を覗かせながら、ジトリとリヴァイを睨むも彼にはやはり効果が無い。
リヴァイはそのままベッドの脇に腕と足を組みながら座った。