Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第14章 傷跡
「でも、本当にどうしてハンネスさんまで一緒に……?」
二人の挨拶が終わったところで、再びエミリが疑問を発する。
エミリとハンネスが知り合いであることを知っていたピクシスにも驚いたが、おそらくハンネスが話していたのだろうと結論づけた。
「エルヴィン団長から貴女も食事に参加することを聞いていたから、流石に上官に囲まれてばかりじゃ緊張するだろうと思ってハンネスさんも誘っておいたの」
不思議そうな顔をするエミリの質問に答えたのは、意外にもピクシスではなく参謀のアンカだった。
「そうだったんですね。アンカさん、ありがとうございます!」
まだまだ下っ端兵士である自分のことを気遣ってくれたアンカの優しさや大人な対応に、エミリはペコリと頭を下げる。若くして参謀を任されている彼女は、面倒見も良いのだろう。
オマケに彼女の整った容姿は同じ女でもうっとりとしてしまう程の美しさだ。
「……俺と随分態度が違うよな」
アンカを尊敬の眼差して見つめるエミリの様子に、ハンネスが不満げに声を上げる。
「そんなこと言われたって……」
何度も言うが、今更ハンネスを上官として接することは難しい。やろうと思えばできるかもしれないが、恥じらいの方がきっと勝つだろう。
「すみません。お待たせしました」
そんなやり取りをしている内に、後から追いかけてきたエルヴィンが合流する。
これで食事会のメンバーが揃った。
「揃ったか。では、店に行こうかのう」
ピクシスの号令で、一同は彼の行きつけの店へ向かい足を進めた。