Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第14章 傷跡
待ち合わせ場所へ到着すると、そこには既にピクシスと参謀のグスタフとアンカがいた。更に……
「何でハンネスさんもいるの……?」
「居ちゃ悪ぃかよ!」
参謀の二人は分かるが何故ハンネスまで同行しているのか理解できず、エミリはピクシスらに挨拶も忘れて目を半眼にしてハンネスをじっと見上げる。
「兵士になってもお主らの関係は変わらんようじゃの」
「え……!? あ、えっと……」
楽しげに目を細めるピクシスにエミリは慌てだす。二人だけならまだしも、ピクシスら他の上官がいる前では流石に敬語を使うべきだっただろうか。けれど、やはり恥ずかしくてできない。
「何だ? お前ら知り合いなのか」
親しげなエミリとハンネスの様子とピクシスの言葉にリヴァイは眉を顰める。
リヴァイはハンネスと初対面だ。エミリから彼の話を聞いたこともない。
向こうはリヴァイの存在を知っているだろう。なんせ人類最強と有名なのだから。
「こいつはハンネスといってな、駐屯部隊長を任せておる。エミリと同じシガンシナ区の出身じゃ。まあ、旧知の仲と言ったところか?」
エミリとハンネスに代わってピクシスが説明する。
それを聞きながら、リヴァイの視線はハンネスへ固定されていた。
そんなリヴァイの鋭い視線に、ハンネスは少しだけ慌てながらも口を開く。
「ハンネスだ。エミリが生まれる前からこいつの両親と面識があってな。こいつとは赤ん坊の頃からの付き合いなんだ。まあ、そんな訳でこれからもエミリのことをよろしく頼む。こいつ、たまにとんでもない無茶をしでかすからな」
そう言ってハンネスは、横から『どういう意味よ!!』と講義を上げるエミリの声を無視してリヴァイに片手を差し出す。これは握手の合図だ。
リヴァイは数秒その手をじっと見つめてから、自身の手を上げハンネスの手を握った。
「リヴァイだ。確かにエミリは無茶ばかりする馬鹿だが、こいつのことは心配しなくていい。俺がちゃんと見張っておく」
「……兵長まで」
無表情でサラリとハンネスの言葉と握手に応えるリヴァイに、エミリは酷いと肩を落としたのであった。