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Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第14章 傷跡


四、五時間程続いた会議がようやく終わり、会議室からぞろぞろと兵士達が出て行く中、エミリは座りっぱなしだった体をぐっと伸ばし大きく深呼吸をする。

初めて会議に出席したが、各兵団の現状況を知ることができたり、それぞれが裏でどんな活動をしているのかなど、新しい一面を見ることができてとても勉強になった。

そして、改めて驚いたのがエルヴィンの頭の回転の早さだ。
調査兵団の存続や壁外調査の反対を主張する者がいる中、資金を調達するためにその達者な口でどんな意見や嫌味も論破してしまう。

相手の論の矛盾を突き崩す能力が高く、また、場の雰囲気を掌握する力も持っている。
弁論術が優れている者とは彼のような人のことを言うのだろう。


駐屯兵団を後にした三人は、そのまま宿へ直行。もう空は橙色に染まり街を包んでいた。


「エミリ、ノートは提出できそうか?」

「あ、えっと……もう少しだけ綺麗にまとめさせて下さい」


ノート作りは得意だし割と好きだが、訓練兵時代に座学でやったように、前に書いてあることを板書するのとは違って、今回は議題に挙げられた内容について手元の資料を見ながら口頭で話し合う形だった。

書くだけでなく聞くことにも集中しなければならないため、殴り書きしてしまった箇所がいくつもあるし、アレンジもできていない。


「分かった。リヴァイと二人で仕事をしているから、まとめ終わったら私の所へ来るといい」

「了解です!」

「では、任せたよ」


エルヴィンが借りる部屋へと入っていった二人に敬礼をし、エミリもノートをまとめるべく部屋へ入る。


「はぁ……」


設置されている水をコップ一杯分、一気飲みをしてソファに腰を下ろしたエミリは、ジャケットを脱ぎ机に再びノートとペンを広げる。
シャツの袖を腕まくりし、ペンを持ったエミリはポツリと呟いた。


「よし、やるか」

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