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Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第14章 傷跡


訓練を中断したエミリは、ニファに連れられ団長室へ向かっていた。
勿論、エミリを呼び出した人物はエルヴィン。頼みたい仕事があるらしく、詳しい事は彼の執務室で話すという。


「団長、エミリを連れて来ました」


二ファがノックをして部屋の中で仕事をしているエルヴィンに声を掛けると、扉の奥から入るよう促される。

入室の許可を貰った二ファは、扉を開けて執務室へ足を踏み入れた。エミリもその後に続く。
エルヴィンはエミリが入ってきたことを確認すると、筆を置いて向き直った。


「訓練中に呼び出してすまないな」

「いえ。ところで、仕事というのは……」


優しく微笑むエルヴィンに、エミリは首を傾け質問する。

初めてエルヴィンに呼び出された時、ガチガチに緊張していたエミリだが、ホフマン家の件があってからは随分と楽に会話ができるようになった。
今もこうして執務室でエルヴィンと向き合っているが、全く緊張しない。不思議な感覚である。


「二週間後、三兵団合同会議が開かれる。君には、その書記係として我々と同行してほしい」

「……え、私が?」


三兵団合同会議がどういうものかはエミリもよく知っている。
各兵団のトップが集まり開かれる会議は、議題に挙げられる内容も重要な事柄ばかり。
つまり、それを書き留める書記という仕事はかなり大事な役割なのである。


「私でいいのでしょうか?」


初めて任される大きな仕事に正直不安が募る。

ノートまとめは割と得意だし、自分でアレンジするのも好きだ。
訓練兵の時も座学ではわかりやすいようにノート作りをしていた。が、今回は授業ではなくトップが集まる会議。緊張だってするだろう。


「君を推したのはハンジだ」

「……え」

「毎日、君の仕事ぶりを近くで見ている彼女から推薦されたんだ。自信を持っていい」


ハンジは巨人のことではしゃぎ回るトラブルメーカーだが、研究という仕事をメインにしているだけあって人間観察も得意だ。つまり、人を見る目がよくある。そのため気遣いだって得意だ。

そんなハンジに推薦してもらったという事は、大きな評価に繋がる。


「はい! 是非、私にやらせて下さい!!」


仕事の腕を認められた。
その事が嬉しくて、エミリは明るい表情で仕事を引き受けた。
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