Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第3章 入団
宴の時間となり、団長のエルヴィンを始め上官達が食堂に入ってくる。
彼らの登場に、新兵達には一気に緊張が走る。初々しい新兵の様子にエルヴィンは優雅に微笑むと、全員が席に着いたことを確認し、前に立って口を開いた。
「我々調査兵団は、君達101期生を新たな仲間として心から歓迎する。今宵の主役は君達だ。肩の力を抜いて楽しんでくれ。では、101期生の調査兵団での活躍を祈って──乾杯!」
カランとグラスがぶつかる音がした。宴の始まりだ。
さっそくエミリは食べ物に食いつく。もうお腹が空いて仕方が無かった。
「エミリ、すごい勢いで食べるわね」
「お前は色気より食い気だもんな」
「色気ムンムンの女は私の好みじゃないの! よく食べなきゃ、壁外で体力持たないでしょ!」
「お前は食いすぎなんだよ!」
「別にいいじゃない!」
「まあまあ、二人ともケンカしないで宴を楽しもう!」
「いや、女が食べる量じゃ」
「オルオは黙ってなさいよ!」
先程出会ったばかりとは思えない程、四人は打ち解けていた。エミリとフィデリオのケンカはいつものことだが、ここにペトラとオルオが加わるともっと賑やかになった。
これからエミリとフィデリオがケンカした時は、ペトラが静止役となることが目に見える。そして、オルオは、可哀相な扱いを受けるのだろう。それがこのメンバーのスタンスとなりそうだった。
「あ、ところでオルオってさ、何歳なの?」
「あぁ、それ俺も気になってたとこ」
「はあ? 何だそれ! フィデリオと同じで16だ」
カラン。エミリはスプーンを落とした。フィデリオは口をあんぐりと開けたまま微動だにしない。
二人は、顔を見合わせもう一度オルオへ視線を戻し、そして、声を上げた。