Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第13章 勉強
「もうぼーっとしてたらどうですか?」
「そうすると、つい仕事のことを考えてしまってな。休めないんだ」
「あなたどんだけ仕事人間なんですか」
それではもう仕事に毒されているようなものではないか。真面目なのか、ただの仕事バカなのか、どっちだろうか。
「まあ、そういうわけで、休もうと思っても休めないというのが現状だ」
「団長、仕事の休み欲しがってる人にそれ言ったらダメですよ。喧嘩売ってるようなもんですからね」
丸一日の貴重な休み。なのにそれを満喫できないなど、なんて贅沢な悩みなのだろうとブーイングが殺到すること間違いなしだ。
「仕方が無いから仕事をしようかと思ったらリヴァイにも怒られてな」
「当たり前じゃないですか!」
というか、休み放り投げて仕事しようとしてたのか。働きすぎだろう。色々と突っ込みを入れたい気持ちに駆られるが、何を言ってもエルヴィンの調子に持っていかれるだけだろう。諦めた。
「というわけで、今の私は何もすることがなくて困っている」
「はぁ……」
「だから、私でよければ勉強に付き合おう。君の受験合格は兵団のためでもあるからな」
「結局兵団ためなんですね。団長、もう休む気ないですよね?」
「はは、まあそういうことにしておいてくれ」
さあ、続きをしようと参考書を開くエルヴィン。エミリは深い溜息を吐いてペンを握った。
(これ、兵長に怒られたりしないかな……?)
もし、ここにリヴァイが現れたら、何故休んでいないのかとエルヴィンを責めるだろう。
それに巻き込まれませんように、とおかしな不安を抱きながら、エミリは再び計算問題と向き合った。