Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第13章 勉強
「エミリは単純な計算ミスが多いな。時間が経つごとにそれが増えていっている。始めの方は順調だが、途中から難易度が上がっていく度にミスがよく目立つ」
「…………」
ノートに視線を固定したままつらつらとエミリの弱点を上げていくエルヴィンに、エミリはポカンと口を開けた状態で彼を見上げていた。
そんな彼女の様子に気づいたエルヴィンは、優しく微笑むとノートと参考書をエミリの前へ戻す。
「エミリ、課題が進まない分野は計算問題ではないか?」
「……わかりますか?」
「ノートを見ればな。君は速く解こうと途中で暗算しながら答えを導き出しているが、それが原因の一つだ」
エルヴィンが言いたいこと、それは大着はするなということだ。
面倒かもしれないが、一つ一つ丁寧に式を書きながら問題を解いていく方が、不器用なエミリに合っているのである。
「時間が掛かるかもしれないが、君の場合はそうして解いていった方が確実に正解を導き出せるはずだ」
「そうなんですね……」
「せっかくだ、私も君の勉強に付き合おう」
「えぇ!? いや、そんなの悪いですよ! 団長、今日お休みなんですよね?」
今日のエルヴィンは団服ではなく私服。ということは、仕事は休みだということだ。
団長としての責任を背負いながら、毎日毎日、兵士長のリヴァイよりも多い量の書類に追われ疲れているはずだ。貴重な休みを勉強に付き合わせるわけにはいかない。
「いつも大変なんですから、その休みをもっと有効に使って下さい! 休んで下さい!!」
「さっきまでずっと自室で寝ていたから今は眠くないな」
「じゃあ読書でもして下さい」
「それは朝食を食べた後にやったさ」
「なら……えっと、なんか何でもいいんで楽しいことやって下さい!!」
「一人でしろというのか?」
「…………」
ああ言えばこう言う、この人には適わない。一体、どうすればエルヴィンを休ませることができるのだろうか。そもそも何故こんなことに悩まされているのだろうか。訳がわからない。