Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第3章 入団
「まあ、リヴァイ兵長は覚えてないかもしれないけど」
「そっか、リヴァイ兵長に……」
「スゴかった。一人であっという間に巨人を倒して行くんだもん。びっくりだよ」
でも、だからこそ思った。
まだ希望はあると。絶望に染まるのは、まだ早い。
リヴァイのように高い能力を持った兵士が、まだいるかもしれない。そうでなくても、彼に近い力を持った兵士がいれば……いつか人類は、きっと自由を手に入れられる。そんな気がした。
「だから、一緒に頑張ろう! ペトラ!」
「うん!」
話をしている内に、いつの間にか食堂に到着していた。既に男子達は集まっているみたいだ。
「おーい! エミリ!!」
「ペトラァ!!」
「「!?」」
そこへ耳に入ってきたのは、フィデリオともう一人の男性の声だった。どうやらペトラの知り合いのようだ。
「あ、フィデリオ」
「エミリの知り合い?」
「こいつとは幼馴染なの。フィデリオ、こっちはペトラ。さっき知り合ったの」
「よろしくな!」
「こちらこそ!」
そうして、先程のように握手をする二人。仲間が出来るというのは素晴らしいことだと改めて実感する。
「おい! 俺がいるのを忘れんじゃねぇ!!」
「うるさいわね、オルオ」
そこへフィデリオの横に立っている男が、不満そうな顔をして声を上げた。するとペトラは、とてもこれまでの可愛い顔からは想像出来ない程、鬱陶しそうに顔を歪める。心做しか声も低くなっていた。
「この人はペトラの知り合い?」
「訓練兵時代からのね。腐れ縁みたいものよ」
「そうなんだ。私、エミリ・イェーガーっていうの。よろしくね。えっと……オレオ?」
「オルオだ! オルオ・ボザド!! 人の名前間違えんじゃブッ」
「うわぁ!?」
オルオが声を張り上げていると、舌を噛んで血飛沫を上げた。エミリは驚いて思わず後ずさる。