Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第13章 勉強
「……解けた……モブリットさん、ありがとうございます」
「いや、いいよ」
「モブリットさんは仕事ですか?」
「ああ。分隊長が仕事をしないからね……」
呆れ顔のモブリットにエミリは苦笑する。
入隊した時からハンジとモブリットはずっと見てきたが、あの頃からモブリットがハンジに振り回される構図は全く変化していない。
「苦労してますね」
「全くだ……」
そんなモブリットに同情しエミリも彼の手伝いをしてはいたが、これからは勉強の方に手一杯でそれも暫くできないだろう。何だか申し訳なくなった。
「でも、モブリットさん、何だかんだ言ってハンジさんの面倒きっちり見てますよね」
疲れた表情を見せるモブリットだが、ハンジの研究にだって嫌な顔せず付き合っている。
ハンジは巨人好きの変人だと言われ、彼女が苦手な兵士も多い。巨人の捕獲に賛成の者だって、今のところいないと言ってもいい。
そんな中、モブリットは暴走するハンジを抑えながらも彼女の提案や考察を聞いては、それを少しでも実現させるために、真剣に巨人の研究に取り組んでいる。
その事に、エミリは前々から気づいていたし、そんなモブリットの行動はハンジを尊敬しているからだということも理解している。
「なんか、見てて伝わってくるんですよね。モブリットさんはハンジさんを尊敬してるんだなあって」
「そうやって言葉にされると、何だかむず痒いな……」
「そうですか?」
言われて見れば、少しだけモブリットの頬は赤くなっていた。照れだろう。
「でも、私の言ってること、間違ってないですよね??」
「まぁ、ね……分隊長には言わないでくれ。あの人にバレたら調子に乗るから」
普段、ハンジに対して結構辛口なモブリットだ。素直に尊敬している素振りを本人に見せるのは恥ずかしいのだろう。
「バレるも何も、もうハンジさんも気づいてそうですけどね」
ああ見えて、部下の気持ちを一番に考えられる気遣いの出来る人だ。
モブリットに対して自由奔放なのも、きっとモブリットが自分を慕ってくれているとちゃんと解っているからだろう。
「解っているから、モブリットさんが第四分隊の副分隊長なんじゃないかなって思うんです」
エミリから見た二人は、エルヴィンとリヴァイの関係と少し似ていると思った。