Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第13章 勉強
午後の鍛錬を終えたエミリは、ペトラと風呂に入った後、書庫で勉強をしていた。
夕食前は、自室でいつも仮眠を取ったり同期達とお喋りをしてゆっくりと過ごしているが、これから暫くは勉強の貴重な時間となる。
流石に朝と違い、訓練で激しく運動した後のためすごく眠いが、休んでいる時間が惜しい。
眠気と戦いながら、ひたすらペンを動かしていた。
「…………えーっと、何これ」
ちなみに今は計算問題を解いているところだ。が、難しくて式が途中で止まっていた。一旦、答えを確認してからもう一度解こうと試みるが、全く違う答えが出る。
「これ何でこうなるの!!」
「エミリ、書庫では静かに」
「すいません……! あっ」
イライラして思わず声を上げてしまい、他の人に注意をされたエミリは、その声の主を見てペンを手から離す。
その人は、いつもハンジに振り回されている苦労人その1。エミリが所属する班で世話になっている副分隊長だった。
「モブリットさん!」
書類と本を腕に抱えたモブリットが、エミリが座る席の後ろに立って、エミリのノートを覗き込んでいた。
「この問題が解らないのか?」
「はい、そうなんです、さっきから何度やっても解けなくて……」
「ちょっと見せてくれ」
「はい」
ノートを受け取ったモブリットは、頭を回転させながら問題から答えまでを目で追っていく。
「…………エミリ、ここの途中式で間違えている」
「え?」
ノートに指をさして教えると、エミリは眉間に少し皺を寄せてその途中式と睨めっこをする。
相変わらず一生懸命な部下にモブリットは小さく微笑むと、エミリが座る前の席へ腰を下ろした。
「俺で良ければ教えるよ」
「いいんですか!? ありがとうございます!!」
これでも、第四分隊の副分隊長を務めている身だ。ハンジの研究や仕事にも四六時中付き合わされている。頭を使う事は得意分野だ。
「まず、ここは──」
モブリットの解説をエミリは真剣な表情で聞き、メモを取る。そして再び問題に取り掛かった。
モブリットの説明はとてもわかり易いものだった。流石、ハンジの研究に付き合っているだけのことはある。お陰であれ程悩んでいた問題をすぐに解き終える事ができた。