Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第13章 勉強
エミリが眠りについた後、再び女子トークが始まる。ホットミルクの入ったマグカップを手にペトラもその中に混じる。
「ねぇペトラ。ちょっと気になることがあるんだけど」
「どうしたの?」
「エミリってさ、もしかしてリヴァイ兵長と恋仲だったりするの?」
「えぇ!?」
予想外の質問に、ペトラは唇からマグカップを離し声を上げる。
「なんでそうなるの?」
「この前街に出掛けた時、エミリが花束持って兵長と歩いてるとこ見て……」
同期の言葉からペトラは一ヶ月前まで記憶を遡らせる。
花束を持っていたということは、おそらくファウストの墓参りに行っていた時のことだろう。本人からも、リヴァイが付き添ってくれたと話をされた。勿論、その話を聞いた時はペトラも驚いた。
(そういえば、エーベルさんのことで失恋した時も、兵長に慰めてもらったって言ってたなあ)
二人が恋仲でないことは本当だろう。もし付き合っているのならエミリはペトラには絶対に話すはずだから。
ただ、前々から感じていたことがある。エミリがリヴァイに対して抱いている感情は憧れと尊敬。なら、リヴァイは……?
(エミリが入院してる時も、殆ど毎日お見舞いに来ていたし……先日の壁外調査でも、兵長はエミリを信用していた)
調査兵としてまだ半人前のエミリをリヴァイは信用し、頼った。これは、リヴァイがエミリに心を開いている証拠。
(……まさか、兵長の方がエミリに?)
二段ベッドで眠っているエミリの方をチラリと見上げる。
ペトラから見て、リヴァイは特定の女を作らないようなタイプに見えるし、おそらくこれは間違っていないだろう。
けれど、エミリの人柄を考えるとリヴァイも少しずつ惹かれていっているのではないだろうか。そんな風に考えてしまう。
「それに、エミリと兵長ってなんか仲良さそうだし!」
「ねぇ、ペトラはどう思う?」
クッキーを齧りながら意見を求める同期に、ペトラはどう返していいのか分からなかった。
「二人は恋人じゃないよ。エミリからもそんな話聞いてないし」
「そっかぁ」
そしてまた別の話を始める同期達の会話を聞きながら、ペトラは尊敬する上司と親友のことを考えていた。