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Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第13章 勉強




「ふふっ、気になる?」

「まあ……少しはですけど……」


とてつもなくイヤな予感がする。怪しい笑みとキラリと光る眼鏡のレンズ。一体ハンジが作る薬にはどういったモノが使われているのだろうか。気になるが、何故だか知らない方が幸せなような気もする。


「というか、ハンジさんが持ってる薬学の知識って本当に大丈夫なんですか?」

「酷いなぁ! 私を疑ってるの!?」

「いや、だって……」


疑われても仕方が無いようなエピソードがありすぎるから言っている。

初めてハンジの薬を口にしたのは、エミリが調査兵団に入って二週間が経った時だった。

薬を作ってみたから是非試して欲しいとハンジに頼まれ受け取った小瓶。その中の液体は黒が混じったような紫色……いや、もう闇の色とでも言えばいいのだろうか、とても言葉では言い表せないような色をしていた。

勇気を出して飲んでみたものの、残念ながらその後の記憶が無い。目を覚ませば医務室のベッドの上。ハンジは医務室の先生に怒られていた。

それからというもの、ハンジに薬を差し出される度に「毒味は嫌です」と断り続けていたが、いつも最後に折れるのはエミリで、こうして毒味役はエミリという固定概念が生まれたのだった。

しかし、何度も毒味役を任されたエミリだが、倒れることはあってもそれ以外体に悪影響が出ることは無かった。いや、倒れるだけで十分大惨事なのだが、エミリは今も健康体だ。何か秘訣があるのかもしれない。と思って、こうしてハンジに質問してみたのだが……


「……ハンジさんはいつも、何と何を調合してあの恐ろしい薬を開発してるんですか?」

「恐ろしいは余計だよ〜! ま、体にあんまり害は無いから心配しなくていいさ」

「何ですかそれ!? 余計に心配しますよ!! ホントに何入れてんですか!!」


机をバンと叩き、椅子から立って講義すればまたもや不気味な笑みを浮かべるハンジ。エミリの全身に鳥肌が立つ。


「知りたい? 知りたいんだよねぇ? いいよ〜そんなに知りたいのなら、教えてあげるよ!! まずは巨人の」

「イヤな予感がするので私はこれで失礼します!!」


巨人というワードが出てきた時点で既にヤバい。エミリは私物を抱えて脱走した。
世の中には、知らない方が幸せなこともある……

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