Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第3章 入団
各自の配属班は後日発表されるため入団式はこれで終わり。
一度兵舎に荷物を置くこととなった。夜は新兵の入団を祝して歓迎の宴を開くようだ。
エミリは、フィデリオと別れこれから世話になる兵舎へ案内される。
新兵は、個室を持つ上官と違って、訓練兵時代同様、複数で大部屋を共有する形となる。と言っても、女性の調査兵は男性と比べて人数が圧倒的に少ない。今期の新兵も38人中、女性はたったの7人。これでも多い方である。
エミリ達は、その7人で大部屋を使用するよう言われた。
部屋の中には二段ベッドがズラリと並んでおり、エミリの寝床は、一番奥の上の段だった。
皆、ここまで来るのに誰も何も話してはいなかったが、案内役の上官が去ると少しずつ賑やかになっていく。しかし、南区から調査兵に入った女子は、エミリ一人。ルームメイト達は、知らない子達ばかりだった。
「ねぇ」
「!!」
ぼーっと同期達の様子を眺めていると、誰かに声をかけられる。その声に反応して視線をそちらに移した。亜麻色の短い髪が良く似合う、可愛らしい女の子だった。
突然声をかけられたエミリは目をパチクリと瞬きさせる。
「私、北区出身のペトラ・ラル! あなたは?」
「あ、私は南区のエミリ・イェーガー」
「エミリか……よろしくね!」
「うん。こちらこそよろしく……ペトラ!」
手を差し出され、それを握り返す。どうやらペトラというこの少女は、エミリの一つ前のベッドが寝床らしい。隣同士というわけだ。
調査兵団に入って初めて出来た友人に、エミリは心が温かくなる。
宴の時間までまだ余裕があるため、その間二人はお互いのことを話し合った。
ペトラはエミリと同じで、同じ区から入団した女の子はいないようだった。他は西と東区出身の子達らしい。
その他にも、友人の話や好きなもの、得意なことや訓練兵時代などの話しをしている内に、あっという間に宴の時間がやって来た。