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Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第3章 入団




「私は調査兵団団長、エルヴィン・スミス」


壇上の上で、エルヴィンが演説を始める。
この場で、卒業した全訓練兵の行先が決まるのだ。


「所属兵団を選択する本日、私が諸君らに話すのはやはり、調査兵団の勧誘に他ならない。
戦死率の高さから慢性的な人材不足が続いており、我々は常に新しい兵士を求めている。

新兵が最初の壁外遠征で命を落とす確率は5割以上。それを乗り越えた者の中から、生存率の高い優秀な兵士が選りすぐられていく。この惨状を知った上で、自分の命を賭してもやるという者は、この場に残ってくれ」


冷や汗が流れた。

分かってはいたが、こうして改めて調査兵団の団長である彼から現実を突きつけられると、少しだけ手が震えた。


「もう一度言う……調査兵団に入るためにこの場に残る者は、近々殆ど死ぬだろう。自分に聞いてみてくれ。人類のために心臓を捧げることができるのかを……

以上だ。他の兵団の志願者は解散したまえ」


エルヴィンの話が終わり、ゾロゾロと他の兵団の志願者達はその場を去って行く。中には、調査兵団希望だった者も、エルヴィンの話に圧倒されてか、顔を俯かせながら去って行く。

それでもエミリの心が揺れ動くことは無かった。
怖くないと言えば嘘になる。だが、もう見ている。知っている。巨人がどうやって、人を食べるのか。


「君達は、死ねと言われたら死ねるのか?」


ガラリと人数が減った中、その場に残った者に問いかける。エルヴィンの問に、数名ほどが死にたくありません! と返した。その声はどれも震えていた。


「そうか……皆……良い表情だ。

では今! ここにいる者を新たな調査兵団として迎え入れる!

これが本物の敬礼だ! 心臓を捧げよ!」

「「ハッ!!」」


第101期訓練兵団は、総勢38名が本日、調査兵団となった。

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