Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第12章 役割
「っはい!」
エミリの熱意が伝わり、リヴァイから許可が降りる。
リヴァイの判断にはっきりと返事をし、エミリはこの後のことについて頭を働かせる。
まずは薬草の採取のため森に入る。道具の方には、昔エミリと共にグリシャの仕事の様子を見ていたフィデリオに任せよう。道具くらいなら、彼でも分かるはずだ。
「エミリ」
「あ、はい!」
考えていると、リヴァイから声をかけられ顔を上げる。
「薬草調達のため、森に入ると言っていたな」
「はい」
「……エルド、こいつに付き添って森へ行け。巨人からエミリを守れ。いいな」
「了解です!」
「グンタはここに残れ。その間、俺はエルヴィンに話を付けてくる」
「ハッ!」
自身の班員にそれぞれ指示を出し、最後にリヴァイはもう一度エミリを見る。
「エミリ、任せたぞ」
「っはい……!!」
そう言って、リヴァイはマントを翻しエルヴィンの元へ歩いて行った。その後ろ姿に、エミリは感謝を込めて敬礼する。
必ず、貴方の大切な部下を助けると誓って。
「エルドさん、私はフィデリオに道具の調達をお願いしてきますので、待って頂けますか?」
「わかった。馬を準備しているから、話を終えたらすぐに戻って来い」
「ハッ!」
人のためとは言え、エミリの我儘で巻き込んでしまったエルドにも感謝の敬礼をして見せる。
エミリが薬草を集めるために、エルドは命を懸けて巨人と戦わなければならない。申し訳なさと有り難さ、矛盾する二つの思いを抱えながら、エミリはフィデリオの元へ急ぐ。