Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第11章 夢
「付き合うって……」
「墓は何処だ?」
「え、ああ……お墓は、この先にある広場の向こうに」
「行くぞ」
「えぇ!? ちょ、あの……兵長?!」
困惑気味のエミリを放って、リヴァイは先を歩いて行く。慌ててエミリはその後を追った。
どうして一緒に行くなんて言い出したのだろう。リヴァイの考えている事が理解できず、エミリは小さく溜息を吐いた。
「兵長、お仕事はいいんですか?」
彼の斜め後ろに歩くエミリが問いかける。リヴァイはチラリと彼女に視線を向けてから口を開いた。
「今日の分は大体終わらせた。問題ねぇ」
「そ、そうですか……」
なんて言ったが勿論ウソだ。
正直、自分でも戸惑っている。優先させるべきは勿論仕事の方だ。けれどリヴァイは今、その大事な仕事を放ってまだまだ下っ端の部下の墓参りに付き合っている。
どうしてこんなにも、エミリのことが気になるのだろうか。
彼女とファウストの話を聞いたからだろうか。いや、何か違う気がする。
なかなか出ない答え。それに少しだけイライラする。
「あの〜……」
悶々としていると、控えめな声が上がる。勿論、声の主はエミリだ。視線を彼女に移せば、不思議そうにリヴァイを見上げていた。
「兵長、どうかされました? なんか、険しい顔してましたよ……?」
「……俺は元々こういう顔だろうが」
「いや、それが更に増していたからっ……と、何でもありません……」
ギロリとリヴァイに睨まれ、エミリは口元を引き攣らせて顔を背ける。
悪気はなかった。ただ本当のことを言っただけ。というよりも、リヴァイも自分の表情の変化に関しては認めている筈なのに何故睨まれなくてはならないのだろう。
(やっぱり、分かってても指摘されたくは無いのかな……)
これからはリヴァイに、表情のことでつっこむのは止めておこうと心の中で密かに決意した。