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Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第10章 存在




「さて、エレン」

「ん?」


昼食を食べ終え、食後のデザートにプリンを食べていたエミリが、おかわりで二つ目のチーハンを食事中のエレンに話し掛ける。


「何か悩み事でもある?」

「なんだよ……いきなり……」


エミリはいつも唐突だ。
特に頭を撫でてくる時なんか、意味不明な場面で手を出してくる。

けれど、今エレンに問いかけるエミリは、微笑んではいるがその瞳は真剣味を帯びている。本気で自分の弟を心配している一番"姉"らしい表情をしていた。


「さっき、病院で訓練のこと聞いた時……エレンの表情が少し強ばったから」


エミリの言葉にエレンはビクリと肩を揺らす。
やはり何かを抱えているのだろう。その"何か"は解らないが、もし悩んでいるのなら力になってあげたい。

姉として、先輩として……


「誤魔化せるとでも思った? バレバレだよ。耳も赤くなってた」

「うっ……」

「無理強いはしないけど……もし良ければ話してくれない? これでも、エレンの先輩でもあるんだから」


ね?と微笑んで見せる。エレンは口を尖らせながら、エミリから視線を逸らした。
そんなエレンの耳は強がりからか、それとも恥ずかしさからか、その両方か……ほんのりと赤く染まっていた。

エレンは意地っ張りな子だ。きっと自分からは易々と悩みを打ち明けるようなことはしないだろう。そして、一人で解決しようと自分を追い込み続ける。

だから敢えて、エミリから話を持ちかけた。
エレンのことはお見通しだ、という態度を示すことで誤魔化しという逃げ道を塞ぐ。

タチが悪いのは重々承知。無理強いはしないと言ったが、やっぱりお節介をしたくなる。

それに……きっとエレンが悩んでいる事は、エミリが訓練兵時代に悩んでいだ事と同じだろうから……

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