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Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第10章 存在


本部へ戻ったリヴァイとハンジの二人が向かう場所はエルヴィンの団長室。
いい加減、エミリの監視役を決めなければ。壁外調査までまだ二週間あるとは言え、書類や準備に追われるとゆっくり話をする暇も無くなる。


「エルヴィン、入るぞ」


ノックをしたリヴァイが、部屋の主からの返事も聞かずに扉を開けて中へ入る。ハンジもいつものハイテンションでリヴァイに続いた。


「エミリの様子はどうだった?」


エルヴィンが書類に視線を固定したまま、ソファへ腰掛ける二人に声を掛ける。
ここ一週間は、新兵やら壁外調査やらでエミリの見舞いに行くことが出来ていない。彼女が美味しそうにケーキを頬張っている姿が見たいというのに。


「相変わらず元気だよ! 怪我なんかしてないんじゃないかってくらい」

「……あいつ、俺達が帰った後に部屋を抜け出そうと企んでたからな」


ちなみに、リヴァイにはエミリの計画はバレバレだった。計画と言う程のものでは無いが……
だからリヴァイは病室を出る前にわざわざ釘を刺しておいたのだ。きっと何も言わなかったら部屋を抜け出していただろう。


「え、そうなの? あ、でも確か今日は星が綺麗に見えるって話があったね」

「なら、それが狙いだったのかもしれないな」


相変わらず手のかかる部下だと溜息を吐くエルヴィンだが、その表情は楽しそうだ。


「で、エルヴィン。あいつの監視役についてたが……」


ここで本題に入る。そのために団長室へと足を運んだのだから。雑談などしている場合ではない。


「ああ、その件については問題ない」

「え、問題ないって?」


口元に笑みを浮かべるエルヴィンの言葉に、ハンジが首を傾げる。彼の発言から適任を見つけたのだろう事は見て取れた。問題は"誰か"という事だ。

ハンジ班の誰かだろうか、それともエミリと仲の良いフィデリオ、ペトラ、オルオの三人の中の誰かだろうか……


「調査兵では無い。壁外調査には、動ける者はなるべく調査に出てほしいからな」

「じゃあ誰?」


駐屯兵団か憲兵団へ入団したエミリの同期だろうか。
けれど、調査兵団へ入った同期以外の者とは、エミリと仲はあまり良くなかったはずだが……


「彼女の同期でもない」

「あ? なら、一体誰だ……」

「それは───」

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