Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第10章 存在
「ま、監視役についてはまたエルヴィンと話し合うよ」
監視をつけるのは決定事項らしい。まあ、とんでも無いことを仕出かしたのだから仕方あるまい。
あの時は頭に血が登って、先のことなど考えていなかった。これからは気をつけよう。まずは熱くなってしまうこの性格をどうにかしよう。
「それじゃあ……そろそろ私達はお暇するよ」
「あ、はい! いつもありがとうございます」
「クソする以外は部屋から出るんじゃねぇぞ。また厄介事起こされたら面倒だからな」
「……ハイ」
リヴァイから泣く子も黙る睨みもセットで年押しされる。きっとこれは命令だ。背いたらとんでもない事になる。
今夜は星が綺麗だという話を看護師から聞いたから、こっそり抜け出してやろうかと思ったがやっぱり止めた。
「また明日も来るよ〜!」
手を振って病室を出て行くハンジの後にリヴァイも続く。ピシャリと扉が閉められ、さっきまで賑やかだった空間は一気に静かになった。
「……はぁ」
エミリはゴロンとベッドに寝転がる。
この静かな空間が嫌いだ。やっぱり、誰かが傍にいてくれないと寂しいと思う。特に夜の病室なんかは、そう……たまに幽霊が出そうな程静かで怖かったりするが、そんなことを言ったら馬鹿にされるため言わない。
「早く明日にならないかなぁ……」
朝は夜と比べてそこまで静かな訳でもないし、午後になれば手土産を持ってフィデリオ達が遊びにやって来る。夕方も入れ違いでリヴァイやハンジが来て、共に夕食を過ごしてくれるため寂しくはない。
このまま起きていても仕方が無い。
エミリは枕に顔を埋めて、一眠りすることにした。