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Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第9章 幸福




「エーベル」


だから私も、最高の笑顔で祝福したい。


「結婚おめでとう!」


別に、もう想いなんて伝わらなくていい。知る必要なんか無い。


「ありがとう、エミリ」


そうやって貴方が、いつまでも笑っていられるのなら。


(……もう、完全に吹っ切れたか)


エーベルと楽しそうに話すエミリを見て、彼女の笑顔が強がりから来ているわけでは無いことをリヴァイは悟った。

エルヴィンの口から彼らの結婚式について話があった時、平気な様子だったがそれでもまだ、心の中で引っかかっていたものがあっただろう。

もう心配は無さそうだ。


「兵長、お待たせしました」


エーベルと話を終えたエミリがリヴァイへ声を掛ける。
屈託の無い、彼女らしい眩しい笑顔を見て安心した。


「リヴァイさん」


エミリに続いて、エーベルがリヴァイに話し掛ける。


「貴方にも本当にお世話になりました。シュテフィを式場まで送り届けてくれたこと、感謝致します」


深々と頭を下げるエーベル。彼の姿勢から伝わるのは、シュテフィを大切に思う気持ち。本当に彼女を愛しているのだろう。

家柄とか、権力とか、そんなもの使わなくても、彼らは心で人と結びつくことができる者達。
最初は王家の官吏一族ということで、会うことも面倒だと思っていたが、今は彼らと出会えて良かったと心から思える。


「……幸せにな」


いつもの自分ならきっと、こんな事は言わない。気づけば声に出していた。もしかしたらこれは、エミリの影響なのかもしれない。


(……こいつと居ると調子が狂う)


が、悪い気はしない。

普段パーティなど騒がしい事が嫌いなリヴァイだが、今日の結婚式は、途中、色々ハプニングはあれど悪くないと思った。


「……うぅ、お腹空いた」


そこに響き渡る、何とも空気の読めない腹の虫。
ムードもクソも無いとリヴァイは呆れた顔をし、エーベルはやれやれと困った顔をした。


「はは、エミリは相変わらずだなぁ。今日は沢山、食事を用意しているから食べておいで」

「うん!!」


杖を付き、目を輝かせながら皿を取りに行くエミリ。仕方無くその後を追おうとするリヴァイをエーベルが引き止めた。


「リヴァイさん!」

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