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Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第9章 幸福


遡ること昨日の夕方。エミリに連絡事項を伝えたエルヴィン達が、仕事の休憩も兼ねて団長室でティータイムをしていた時のことだ。


『ねぇねぇ、皆はさ、エミリにはどんな色のドレスが似合うと思う?』


ハンジが出した話題に、エルヴィン達は紅茶を飲む手を止めて考え始めた。


『そうだな……』

『おい、何でいきなりそんなくだらねぇ話になる』


顎に手を当て真剣に考え込むエルヴィンを放って、リヴァイがハンジを訝しげに見る。しかし、ハンジはそんなリヴァイの視線も気にしない。


『くだらないとはヒドイな〜明日のドレス選びの参考にもなるでしょ? エミリだって女の子なんだし、男の意見とか周りの目とか気にするだろうしさっ!』

『ハンジの言う通りだ。私も何度かパーティーに出席しているとはいえ、女性の好みを全て把握している訳ではない。皆の意見を参考にしたい』


エミリはドレスを持っていないと言っていた。話していた様子から見ても、着たことすら無いのだろう。もしかしたら、ドレス選びは同行するエルヴィンに全て託されるかもしれない。


『おい待て。そこのクソメガネはともかく、お前までエミリに執着している理由が分からん』


エルヴィンの『父親になったような気分だ』発言は忘れられない衝撃の言葉として、しっかりと頭に記憶された。
エルヴィンとエミリの間に、ホフマン家の事柄以外で接点は無いはずだが……


『人のことを言えるのか? お前もらしくも無く、彼女を慰めていたじゃないか』

『ああ! あれは私も驚いたよ〜! リヴァイもあーいうことするんだねぇ?』

『チッ……』


どうやら、"あの夜"のリヴァイとエミリのやり取りを二人はしっかりと目撃していたようだ。
よりにもよって一番見られたくない奴らにと、苛立ちを込めた舌打ちを打つ。


『じゃあさ、リヴァイはどう思うの? エミリのドレス! 何色が似合うと思う??』

『………………オレンジ』


五月蝿い騒がしいレベルのハンジの声に眉を顰めながらも、仕方無く本心を口にするリヴァイであった。

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