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Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第8章 涙




「いざ、こうして……失恋するとなると……やっぱり、かなしくて……せめて、気持ちだけでも、ダメかなって思っても……ふたりの、しあわせそうな顔をみて、ると……でき、なくて……」


せっかく両想いになれた二人の邪魔をしたくなかった。
困らせたくなかった。
笑顔で祝福したかった。

告白することで、二人の幸せな世界を壊したくなかった……


「……やっぱり、失恋は……なんど経験しても、なれませんね……」


"なんど"その言葉にリヴァイは反応した。

エミリのこの恋は二度目。
一度目は、もしかしたら……


「さっき、エーベルと出会ったころ、訳ありで元気が無かったってお話、しましたよね……? それも、失恋したからなんです」


予想していた通りの事に、リヴァイは顔を顰める。
まだ、無理をして笑い続けるエミリを見ていると悲しくなった。


「……でも、それは失恋でもあったけど……両想いでもありました」


エミリの言っていることが分からなくて、リヴァイは少し首を傾ける。

両想いだが失恋したということは、その恋は実っていないということになる。話が見えず、黙ってエミリの話の続きを聞く。


「……私が10歳になる少し前、彼は……病気で亡くなりました」

「!」

「ファウストという、四つ上の男の子で……私とフィデリオの幼馴染でもあったんです」


瞼を閉じれば、ファウストと過ごした日々が頭を過ぎる。

今まで彼のことを思い出すと辛くて、あまり思い出さないようにしていたが、エーベルに対する気持ちにケリをつけようと考え始めた時から、時々思い出すようになっていた。

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