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Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第8章 涙


エミリに気を利かせたエルヴィンは、いつもより早めに屋敷を出た。巨人の話を語るつもりだったハンジも、流石にそんな気分にはなれなかった。

馬車に揺られ宿へ向かっている間、エミリはずっと窓の外を眺めていた。

勿論、四人の間に会話は一切無かった。いつもなら気まづく思うエミリだが、自分の気持ちを整理することで精一杯だった。


宿に着いてからは、すぐに夕食を済ませ風呂に入る。
なにもする気になれず、とにかく早くベッドに篭もりたかったから。

髪と体を洗い終え、タオルで全身を拭いて風呂場を出る。
設置されてある鏡を見れば、映るのは酷く疲れた表情をした自分の顔。


「…………ブサイク」


そんな自分の顔を見るのも嫌になった。

私服へ着替え、風邪だけは引かないようしっかりと髪をタオルドライする。胸元までのボサボサの長い髪をブラシで解いた。

もう寝よう。そう思って脱衣場から出ると、廊下にはリヴァイが腕を組みながら壁に背中を預け立っていた。


「!」


驚いたエミリは動きを止めるが、慌てて首に掛けてあるタオルを取って敬礼のポーズをとる。


「…………兵長?」


エミリをじっと見たまま何も言わないリヴァイに、エミリは首を傾げる。
リヴァイは壁から背中を離し歩き出した。


「少し付き合え」

「へ……?」


唐突にそんなことを言われ、気の抜けた声を出したエミリは、先を歩いて行くリヴァイを慌てて追った。

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