第53章 文化祭のひととき。
んー、だいたいの店は回ったかな?
そろそろクラス戻ろっかな。
あ、田島だ!
のぞみ「たーじま!」
田島「おお、のぞみ!今からクラス戻んの?」
のぞみ「そーだよ!」
阿部くんがふーっと息を吐く。
阿部「おまえら、ほんと仲良いな。ちょっと2人で回ってこれば?武蔵野の榛名の研究はあとでやろーぜ。」
のぞみ「お兄ちゃん!?」
阿部「おー、次の試合であたるんだ。てか、おまえ何で妹だって言わなかったわけ?」
のぞみ「わ、ごめん?タイミングが…」
田島「おい!のぞみのこといじめんなよ!」
阿部「あー、わりー。」
田島「ま、さんきゅー阿部。ちょっと2人で抜けるわ」
田島が私の腕を引っ張る。
のぞみ「わっ!」
阿部「へいへい、いってら。」
田島に握られた手があったかい。
のぞみ「ねー、どこ行くのー?」
田島「2人きりで静かなとこ!」
満面な笑みで答えられドキドキしてしまう。
あー、もうどこでもいいや。田島と2人でいられるなら。
ギュッと田島の手を握り返す。私の気持ち、ちゃんと伝わってるかな?普段は好きとか恥ずかしくて言えないけど、たまには言ってもいいかな。
静かに声を出さず好きと呟く。
田島「…俺も。」
のぞみ「えっ!? 地獄耳!!」
田島「まーね。よく言われる。ねー、もっかい言って?のぞみ」
田島にジッと見つめられる。
のぞみ「え// あ、あとでね。」
田島「のぞみの恥ずかしがり屋さーん♪」
あー、このまま時間が止まればいいのにな…。