第51章 お互い様。
田島の大きな瞳にじっと見つめられ、少し怖くなる。
のぞみ「離してよ!」
全力で抵抗するが握られた腕の力が予想以上に強く、ビクともしない。
田島「そりゃ、のぞみより力強いよ?」
不敵に微笑む田島にゾクっとなる。
のぞみ「や、やだ!やめて!」
田島に触れられるのは嫌じゃない。でもこんな初めては嫌…。まともに唇にキスもしてもらってないのに…。田島のベッドでゆっくり甘い言葉を囁きあって、そんな始めてを思い描いていたのに…。
やだ…。
私の目から大粒の涙がこぼれる。
田島が私の涙を拭う。
田島「わりー。ごめん。」
のぞみ「た、たじま…。」
涙で上手く喋れない。田島がゆっくりブラウスを羽織らせてくれる。
田島「俺が悪かった。」
のぞみ「ちがうの…。こういうことは…。」
田島「ん?」
のぞみ「田島のベッドで…もっとゆっくりしたかった。わたし、怖くて…」
田島「ごめん。もう泣かせないから。」
田島にギュッと抱きしめられる。フワッと田島の匂いがして、心が落ち着く。
顔を上げるといつもの優しい田島の顔。
目が合い、田島は微笑むとそっと頭を撫でてくれる。
のぞみ「田島のこと…すき。」
ギュッと田島を抱きしめ返す。
田島「んな、かっこうで言うなよ// 俺、すんげー我慢してんだぞ!厳密に。」
のぞみ「今日はごめんね…?」
田島「うん、お互い様な?」
のぞみ「うん。んっ」
おでこに甘いキスをされた。
心の中がじわっと熱くなる。
私、田島のこと本当に好きなんだ。
このまま時間が止まればいいのに。