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恋する田島様

第42章 田島の悩み


のぞみ「うん。残念だったね…。」

田島「阿部が怪我したんだ。クロスプレーで。そんで俺がキャッチャーやったわけ。」

のぞみ「うん。」

田島「俺、公式戦でキャッチャーやるの初めてで、すんげーテンパってさ。」

のぞみ「そっか。」

田島「三橋ががんばって投げてんのに、俺のリード悪くて…。」

のぞみ「うん。」

田島「んで、打撃も本調子じゃなかったんだ。」

田島の顔が暗くなる。俺のせいで負けたんだ、そう言いたいみたい。

のぞみ「それで、これからどうするの?」

田島「これから?」

のぞみ「そー。反省してんでしょ?」

田島「うん。阿部が復帰すんまでは俺がキャッチャーだから、もっと上手くリードできるようになる。そんで打撃にも影響ないよーにしねーと。」

のぞみ「うん。田島ならきっと出来るよ。」

田島「おおー。ありがと。……あー、俺がホームラン打てたらなぁ…」

田島が遠くを見つめる。

のぞみ「え?」

田島「俺だけじゃ点数入れられないし。ホームラン打てねーなんて4番っぽくないよな…。」

田島が弱音を吐くところ初めて見た。

田島「こんなんじゃ花井にいつか4番取られる日が来るかもしんねー。」



のぞみ「…。ねぇ田島の目標って何?」

田島「そりゃー甲子園だろ。」

のぞみ「みんなで、でしょ? 田島の夢は4番を打つことよりも、みんなで甲子園に行くことでしょ?」


田島が私の方を向く。そして、ニッコリして…

田島「おー!みんなで甲子園行くんだ。」

のぞみ「田島は田島の仕事をすればいいんだよ。それにホームラン打てなくたって田島はすごいよ!西浦に必要な選手だよ。」

田島「だな。ありがとのぞみ! 元気でた!」

のぞみ「うん、よかった。」

田島はいつの間にか明るい顔に戻っている。

田島って意外といろんなことを考えたり悩んだりしている。周りのことだってしっかりみているし。ほんとすごいのに、そんなところを感じさせないところ、感心する。

あんなに野球うまいのに、いつもそれ以上を求めてる。そんな姿がきっと、西浦高校を強くする、私はそう思う。
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