第23章 田島の家で③
田島「んー、お腹いっぱい!」
田島はふにゃーともたれてくる。
のぞみ「ちょ、なに?」
田島「別にいいだろー?俺、今日がんばったし!」
そういって、私の膝を枕にしてごろんっと横になる。
のぞみ「恥ずかしいんだけどー!お母さんとか来たらどうするん?」
田島「んー?別にいいんじゃねー」
上目遣いに笑う田島。あぁー母性本能くすぐられるって、こーいうことかぁ。さすが大家族の末っ子。だめと、相手に言わせないすべをもっている。
のぞみ「右手、大丈夫?」
田島「おお!大丈夫!今日は1番バッターだったんだぜ」
のぞみ「かっこいいやん、先頭バッター!」
田島「んーでもな、塁に人いないと打点つかねーし。やっぱ4番に早く戻りたい!」
田島は右手を高くあげる。
のぞみ「そーやな。今日は花井くんが4番?」
田島「そーだぜ。」
田島の顔がくもる。
のぞみ「どしたの?」
田島「あいつ、もっと自信もてよな。俺があいつならホームラン打ちまくってんのに。」
田島、花井くんと何かあったのかな?
のぞみ「花井くんだって、がんばってるんでしょ?」
田島「そーなんだよ!こないだだって1人で夜、走り込みしてたし。」
のぞみ「花井くんだって、きっと変わろうと必死なんだよ。」
田島「うんー。」
のぞみ「それに花井くんはキャプテンでしょ?いろいろプレッシャーあるんだって。」
田島「そーだな。なんか重苦しい顔してんもん。もっと野球楽しめよなー。」
のぞみ「うん。田島、そんな花井くんのこと気にするなんて、やっぱ花井くんに期待してんの?」
田島「え!4番は譲らないぜ? でも、あいつにはうまくなってほしいと思う。だって、すんげー頑張ってっから!!」
ふっ。ほんと田島って素直だなぁ。花井くんの苦労が少し分かる。
田島は素直で純粋で誰からだって好かれる。三橋でさえ田島には懐いてるし。それに野球めちゃくちゃうまいし、誰よりも野球好きだし。こんな大きな光が側にあると、キャプテンとしてしんどいだろうな。あいつがキャプテンやればいいんじゃって悩みそう。でも、花井くんならきっと、乗り越えられると思う。
のぞみ「西浦は絶対強くなるよ。」
私は田島の頭を撫でた。
田島「のぞみ…。」