第16章 田島とテニス+三橋くん②
田島「よーし!順番にやろーぜ。じゃんけん、じゃんけん!」
のぞみ「おっけー」
じゃんけんの結果、田島と三橋が先にやることになった。
三橋「田島くんサーブでいいよ。」
田島「おぉ。さんきゅ♪ 三橋テニスやってたんだよな?」
三橋はコクっと頷く。
田島と三橋は点数を争うというよりラリーを始めた。田島は左手で器用に打ち返す。
田島「やべー♪楽しいなテニス!」
三橋「そーだね!」
三橋と田島が、仲良くテニスしている姿を見てほのぼのする。
それから三橋と田島は20分くらいラリーをしていた。田島もだけど三橋くん、なかなか体力あるなぁ。
三橋「榛名さん。そろそろかわるよ。」
恥ずかしそうに話しかけてくる三橋。田島と喋っている時より緊張しているのが分かる。
のぞみ「ありがと! 田島、休憩する?」
田島「ん?全然大丈夫だぜ!」
ほんと、田島って体力底なしってかんじ。
私たちも点数を競わずラリーを続けた。田島、左手なのにコントロールもしっかりしてるし、球に力もこもってる。やっぱり運動神経ずば抜けてるなぁ。ほんと田島は何やらしても器用にこなす。
ラケットをくるっと回す仕草が、かっこよくて思わずキュンっとしてしまう。
のぞみ「いたっ。」
思わずボーッとしちゃって、こけてしまった。膝から血がでている。
田島「おい!大丈夫かよ?」
田島がネットを飛び越えて走ってくる。三橋もあわてているようだ。
のぞみ「大丈夫!大丈夫!ちょっと洗ってくるから。」
田島「俺もついてく!」
三橋「お、おれも」
どっからか、怒鳴ったような声が聞こえてくる。三橋がびくっと縮こまる。
阿部「おーい!三橋、投球練習するからブルペン入れ!」
三橋「あ、あべくん!」
田島「いってこいよ。口うるさい女房がよんでんぞ?」
三橋「うん。あ、あべくん。今行くから。」
三橋が緊張しているのが分かる。三橋って本当、田島以外とはコミュニケーション苦手よね。
2人きりになった私たち。
田島「抱っこしてやろうか?」
田島がニヤニヤする。
のぞみ「な、1人で歩けるから。」
私たちは、手洗い場に向かった。