第9章 人里離れた山奥へ
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その夜、ヒストリアの生い立ちの話を聞いた。
レイス卿の領地内にある牧場で生まれ育ったこと。
他の子どもたちから石を投げられ牧場の外には出なかったこと。
母親との会話はほぼなく祖父母とも会話が少なかったこと。
母親の第一声が「こいつを殺す勇気が私にあれば・・」だったこと
そして845年。ウォールマリアが陥落した数日後に"父親"であるロッド・レイスが訪ねてきたこと。
・・・そして目の前で母親が殺されたこと
その後、「クリスタ・レンズ」という名前になったこと
そしてその後、開拓地で2年過ごし12歳になった時訓令兵団に入団したこと
彼女は表情を変えることもなく淡々と全ての事実を話した後席を立った。
私たちにはあまりにも衝撃的でその後誰も一言も発することはなかった。
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『ふぅ。』
わたしは外に出ていた。
星空はとても綺麗で月明かりだけで充分なほど外は明るく感じた。
「・・・何してる。勝手に外に出るなと言っていたはずだが」
後ろから聞こえた声に心臓がどきっとした。
慌てて振り返るとそこには少し呆れた表情のリヴァイ兵長がこちらに向かって歩いてきていた。
『す、すいません!少し一人になりたくて・・・』
「・・・隣座るぞ」
リヴァイ兵長はそういうとわたしの隣にドカッと座りこんだ。
「腕はどうだ?」
『あ、まだ完治はしていませんが大分いいです。
回復が早いって先生にも褒められたんです』
ふふっと笑いリヴァイ兵長の方を見る。
「そうか、それならよかった。
これからどんな危険なことになるかわかんねぇからな。
・・・俺が守ってやれるかもわからん」
『大丈夫です!自分の身は自分でしっかりと守ります!
足手まといにならないように頑張ります!』