第9章 人里離れた山奥へ
「ハンジ、お前は普段なら頭の切れる奴だ。
だが、ニックが殺されたことに責任を感じて逃げ腰になっちまってる。
ニックの爪は何枚はがされてた?」
「え?」
「見たんだろ?何枚だ」
「わからないよ・・・一瞬しか見れなかったんだ。
でも、見えた限りの爪は全部はがされてたよ。」
「ほう。
喋る奴は一枚で喋るが・・・
喋らねぇやつは何枚剥がしたって同じだ。
ニック司祭、あいつはバカだったとは思うが自分の信じるものを最後まで曲げることはしなかったらしい。
ニックが口を割らなかった可能性が高いとなれば
中央の「何か」は調査兵団がレイス家を注視してるってとこまで警戒してない・・・かもしれん。
まぁ、俺に言わせりゃ今後の方針は二つだ。
背後から刺される前に外へ行くか
背後から刺す奴を駆除して外へ行くか。
・・・お前はどっちだハンジ?
刺される方に行く方か?」
ハンジ分隊長は唇を噛むと
力強く前を向きながら
「両方だ。どっちも同時に進めよう」
と私たちの方に目を向けた。
「まぁ、エルヴィンならそう言うだろうな・・・」
ハンジ分隊長の返答を聞いたリヴァイ兵長は
当たり前だと言わんばかりの表情を見せる。
・・・少し安心したように見えたのはわたしの思い過ごしかもしれないが。