第9章 人里離れた山奥へ
『・・・綺麗ですね。
こんな風に空を見上げるのもかなり久しぶりな気がします。
・・・そんなに日は経ってないのに色々なことが多すぎて』
「あぁ。確かに色々なことがあったな。
・・・この壁の中は常にどぶの臭いがする空気で満たされている。
それも100年以上ずっと。それが現状だ」
俺はエルフィの方を向いた。
「俺がそれに気づいたのは数年前からだ。
なんせ生まれた時からこの臭ぇ空気を吸ってたからな。
これが普通だと思ってた。希望なんてもったこともなかった。」
『・・・』
エルフィの目が俺を捕らえる。
「だが、壁の外で吸った空気は違った。
地獄のような世界だがそこには壁の中には無い自由な世界があった。
俺はそこで初めて自分が何を知らないかを知ることができた。」