第1章 出会ったのは……
謙「景家、景持。そのくらいにして、城に戻るぞ。娘、お前も来たければついて来ると良い」
今まで黙っていた謙信さんが口を開いた
「は、はい!……あれ?」
謙「どうした」
「すみません、足が…」
見ても解る程両足は震えていて、動かそうにも鉛の様で全く動かせないでいた
余りにも非現実的なことが立て続きに起きた所為かもしれない
謙「……」
(に、睨んでる!やっぱり見捨てることにするって言われたらどうしよう…)
私の不安をよそに、謙信さんは私の背と膝の裏に手を置き、ひょいと抱き上げた
(こ、この体勢って、もしかして…… お姫様だっこ!?)
「あの、そこまでしていただかなくても…」
謙「何故だ? 歩けないのだろ?」
「はい、で、でも……」
謙「行くぞ」
謙信さんはそれだけ言って、歩き出した
(謙信さん、怖そうな所もあるけど悪い人じゃなさそうな感じ…?)
(言い方とかは冷たいけど、本当は物凄くいい人なのかも…)
こうして私は、謙信さんのお城に連れて行って貰い
謙「この部屋を好きに使うと良い」
そう言って、一つの部屋に案内された
「はい! ありがとうございま__」
(あれっ、いない!?)
お礼を言おうと振り返るも、既にそこに謙信さんの姿は無かった
(一瞬で居なくなった!?)
_それにしても謙信さんは本当にあの上杉謙信なのかな?
私の知ってる上杉謙信とはちょっと違うんだけどな…
__主に”耳”とか!!
そう! 『耳!!』
あと 『尻尾!!』 とか___
(私、これからここでやってイケるのかな…??)