第6章 僕が守るから…
”ザシュっ!!”
武兵「ぎゃああっ!」
銀の刃が弧を描いて敵兵に襲い掛かり、その直後、血飛沫が舞った。
景勝くんは強かった。
でも、敵兵の数はとてもじゃないけど多すぎて……。
景勝「はぁ、はぁ……」
一人じゃ対処しきれないのだろう。
酷く息が乱れている景勝くんはもう、限界を迎えているように見えた。
(このままじゃ、景勝くんが……。)
私は、たまらずに_
「景勝くん、もういいよ……。私を置いて逃げて」
(これ以上 景勝くんの足を引っ張るわけには、いかない!)
「私の事はもういいから、早く逃げて……!」
しかし、景勝くんは私を背中に庇ったまま、首を振った。
景勝「……置いて行くなんて、出来ない」
「でも! もう十分、守って貰ったよ…… だからもう…!」
(逃げて!!)
景勝「……さっき、言ったはず。必ず守るから、僕を信じて……って」
「そうだけど……!」
景勝くんは刀を構え直すけど、足がふらついていて、
立っているので精一杯、と言う様子だった。
(景勝くんがふらふらになりながら、戦ってくれるのに…… 私はっ…!)
すると、敵兵も気づき好機と見たのか、一斉に襲い掛かって来た。
「景勝くん……!」
どうすることも出来なくて、私はただ景勝くんの呼んだ。
その時__
武兵「ぐああああああっ!」
飛び込んで来た人影が、敵兵たちを瞬く間に斬り伏せた。
「え……?」
いったい、誰が……?
信じられないような気持ちで、刀の主へと目を向けると……。
謙信「__無事か?」
そこには、密やかな雰囲気を漂わせた謙信さんが、
夜の闇に銀髪をなびかせながら、佇んでいた__