第6章 僕が守るから…
「ごめんね、景勝くん。私の所為で、こんなことになっちゃって……」
私は、罪悪感と申し訳なさでいっぱいだった
景勝「何で謝るの……? 山に行ってみようって言ったのは……僕なのに」
「でも…… もし途中で、敵の軍に見つかったら……」
景勝「……今は、そんな事、心配しないで。無事に帰れるよう、僕、頑張るから……」
景勝くんの優しさが、少しだけ私の心を軽くしてくれた
「景勝くん…… ありがとう」
遠くからがさがさと茂みの鳴る音が聴こえて来た。
景勝「……こっち」
「あっ、うん……」
景勝くんに手を引かれながら、私は再び息をひそめ、忍び足で移動し始める。
しかし、既に武田軍は私たちの近くまで追っていたようで_
武田軍兵士(武兵)「誰かいるぞ!」
「!」
(み、見つかった!)
辺りを探りまわっていたらしい 武田軍の兵に見つかってしまった。
景勝くんが私を庇う様に前に出て、腰に差していた刀を抜く。
武兵「ん? 貴様は……上杉の……!」
武兵「間違いない、上杉景勝だ! 上杉景勝がいるぞ!」
その言葉に、続々と 敵兵たちが集まって来た。
景勝「……中々、手強そうだね」
「ど…どうしよう、景勝くん……!」
慌てる私に、景勝くんは優しい声音で答えた。
景勝「……大丈夫。絶対に、守るから。……僕を信じて」
「う、うん……」
武兵「何をこそこそと話してやがる! ……おらぁっ!」
敵兵の一人が駆け出し、切っ先を突き出してくる。
しかし、景勝くんは上体を横に倒してひらりと交わし、すれ違いざまに、脇へと刃を滑らせて_
武兵「ぐあっ!」
武兵「ちっ、調子に乗るなよ!」
間髪入れずに、別の敵兵が襲い掛かって来たけど、景勝くんは、空いている片手で私を抱き寄せてから、冷たい声で言い放つ。
景勝「……彼女には、指一本、触れさせない」
(景勝くん……)
私を抱きしめたままの景勝くんと、
敵兵との戦いが始まった_