第6章 僕が守るから…
助けに来てくれた謙信さんのおかげで、
敵兵の数は大幅に減った。
武兵「う、上杉の総大将がなぜここに……」
武兵「我々だけでは討ち取れぬ!ここはいったん退き_」
兼続「させるかよ!」
そこへ、兵を率いた兼続さんが続いて、馬の上から刀を振るい、残った敵兵を蹴散らす。
最後の一人が倒れると ようやく、辺りはしんと静かになった。
兼続「景勝、無事か!?」
景勝「うん、大丈夫……」
「助けに来てくださって、ありがとうございます……! 謙信さん、兼続さん」
謙信「礼には及ばない。私は私の義務を、果たしたまでであり_」
謙信「今回の件については、兼続の手柄と言っても過言ではないだろう」
「それって……」
謙信「兼続から、お前たちと、姫神子の使いだという仔たぬきの事を聞き、急ぎ、城を出て来たのだ」
謙信「もし、報告が間に合わなければ…… わたしの到着が遅れていたかもしれぬ」
(兼続さんが、すぐに謙信さんに伝えてくれてたから……)
兼続「お前らの事は、景勝を助けるついでってだけだ。ま、情けって奴だな」
兼続「だから、俺に感謝しろよ、お前ら!」
「はいっ、ありがとうございます!」
私は、改めて兼続さんにお礼を言った_
イマリ「助かりました!」
「景勝くんも、……ありがとう」
景勝くんにもお礼を言ったが
返ってきた言葉は思っても居なかった言葉だった_
景勝「……お礼を言われる様なことは……していない」
「えっ?」
ふらふらになりながらも
ずっと私を庇いながら戦ってくれた_
お礼だけじゃ足りないって、思ってるほどなのに
(お礼を言われる様なことはしてないって…)
それに、はっきりとは言い切れないが
景勝くんの表情は、さっきよりも少しだけ暗く感じた……
(景勝くん……)