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なにがあっても、あなたを守るから…

第5章 緊急事態…


永遠とも思える時間が経ち、そして_

兵たちは私たちに気付くことなく、通り過ぎて行った。

足音が聞こえなくなるまで待ち、私たちは茂みを出る。

兼続「おい、景勝。お前も、今の軍勢が掲げていた旗をみたよな?」

景勝「うん……。あれは、武田の家紋だった」

(武田……)

兼続「武田軍の奴らが、上杉領に侵攻して来てるってわけか…」

兼続さんと景勝くんが、不安げに顔を見合わせる。

景勝「ここから城までは……そんなに遠くない。放っておくのは、危険……」

兼続「ああ……。あの大軍勢に城まで攻め込まれたら、さすがの謙信様でも……」

景勝「うん……。早く、みんなに知らせないと……」

兼続「仕方ない、予定変更だ。ふもとで馬を調達するぞ」

(馬……)

兼続「おい、お前。馬には乗れるか?」

「……すみません、乗れません」

兼続「ちっ。一刻を争う今、乗れない奴連れてけるかよ。お前は、その仔たぬきと一緒に帰れ」

兼続「ふもとまで下りたら、道を教える。幸い、歩いて帰れない距離じゃないからな」

景勝「そんな……。だめ……。危ないよ……」

兼続さんの意見に景勝くんは反対した

景勝「だって、戦いが始まったら…… どこが戦場になるかわからない」

(せ、戦場!?)

景勝「イマリはちっちゃいから、逃げたり、隠れたりして何とかなるかもしれないけど、彼女は……」

兼続「だからって、足手まといを連れて行くわけにはいかないだろ!」

兼続「一刻も早くこのことを伝えないと、上杉軍が滅ぼされるかもしれないんだぞ!」

(ほ、滅ぼされる……)

兼続「お前、その女と上杉と、どっちが大事なんだよ!」

景勝「それは……」

兼続さんの言う事は正しい! それは私でも分かる 

(だから!!)

「……景勝くん。私の事は気にしないで。何とか戻ってみるから」



「だから、大丈夫だよ!」



本当は、大丈夫の根拠なんてない…… 

戦いや戦場なんてテレビや映画で見た事しかないから…

けど、

今、謙信さん達がピンチなんだ!

だから、私なんかより 

上杉軍の方を優先してよ

景勝くん!!

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