第3章 優しき後継者……
??「おい、お前」
「え? 私の事?」
景勝くんとは違う所から声がして振り返ると、景勝くんと同じくらいの年の男の人が、不機嫌そうに 私を見つめていた。
??「はぁ? 何、お前。この俺に向かって、気安く返事してんなよ」
(え? 先に話しかけて来たのはそっちなのに?)
と思ったものの、
「あっ……すみません」
私は直ぐに謝った
(景勝くんと同じ年位の声に聞こえたから、つい敬語が抜けちゃったから… 気分、悪くさせたのかな…)
??「お前、謙信様たちが山で拾って来た女だろ?」
??「景家さんや兵たちは、間者じゃないかって疑ってた。ふらふら出歩いてたら、斬られても文句はいえないぞ」
「えっ!?」
(私……き、斬られる……の!?)
彼の言葉を聞いて恐怖を覚えた
景勝「……兼続、止めなよ。怖がってる」
景勝くんは私と、彼……兼続さんの間に入ってくれた
兼続「こう言うのは、はっきり言っといた方がいいだろ」
兼続「景勝も気をつけろよ。コイツが本当に他国の間者だったらどうするんだ?」
景勝「そんなこと、ありえない…」
(景勝くん…)
兼続「なんで断言出来るんだよ?」
景勝「良い人のような気がするから…。落ち着くにおいするし」
(え?私って、そんなに匂うのかな? でも落ち着くにおいって……?)
景勝くん言う”匂い”に首を傾げていると
兼続「なんの根拠にもなってないだろそれ! ったく……」
兼続さんは呆れた様に、頭をがしがしと掻いてから、私に向き直った。
兼続「あー、お前も、とにかく部屋に戻れ。危ないぞ」
兼続さんは、心配?して言ってくれたのかもしれないけど…
「でも、景持さんは『自由に歩いていい』って言ってくれましたし…」
「私、家に帰る方法を探してるんです。だから少しでも周りの事を知っておきたくて」
兼続「お前の事情なんか知るかよ。景勝もそう思うだろ?」
私の考えを一刀両断されて、シュンとなった
景勝「いや、僕は……帰る方法を探すのに協力する」
景勝くんの『協力する』と優しい言葉に、私は嬉しくなった
(景勝くん…)