第1章 *ひみつの…【谷山紀章】
『ただいま〜』
といっても、一人暮らしだから返事はない。
「おかえり〜」
えっ
『紀章さん、きてたんだ』
リビングからひょっこり顔をだすその人に声をかける。
同棲してるわけではないけど、お互い合鍵を持ってるからいつでも行き来できる。
私は荷物を置き、
『お風呂入ってくるね』
と伝えた。
お風呂に向かおうとした時、
「ねえ、今日は待てないんだけど。」
後ろからふわっと抱きしめられ、耳元で囁かれる。
大好きなその声と耳にかかる吐息にぞくっとする。
『でも、お風呂……』
「そんなのあとでいいよ。どうせ汗かくんだし。」
と言って私の耳に息をかける。
『やっ……!』
身じろいだ私を紀章さんはひょいっと抱き上げ、そのままベッドルームへと連れて行かれた。
「はい、とうちゃーく」
私をゆっくりベッドにおろし、そして優しくキスしてくれる。
「みく、すっごい可愛い。」
そう言ってまた私にキスの雨を降らせた。