第4章 *ひみつの… 【中村悠一】
『中村さん…』
おずおずと楽屋へ入ると、床に足を投げ出して座る愛しい姿が見えた。
ぱっと私の方を向き、一瞬で優しい笑顔になる中村さん。
「みく!」
さっきまでくつろいでいたのに、気づいたら私を腕の中におさめている。
そんな状況に安心したのか、ふと私の頬を涙がこぼれた。
『っ……中村、さんっ‥』
ぱっと私を離すと、顔を覗き込まれる。
「えぇっ、どうしたの!何かあった?」
心配そうに私の顔を見て、よしよしと背中をさすってくれる。
しかし、あなたが遠くて不安なんです、なんて言えない。
これ以上、中村さんに負担をかける訳にはいかないから…
『なんでも、ないっ…』
「大丈夫。俺はずっとみくのそばにいる。」
『……っ』
欲しかった一言を優しく呟く中村さん。
私はその優しさに安心するとともに、気を遣わせてしまい申し訳ない気持ちになった。
『ごめ、なさい……』
「なに言ってるの。どうせみくのことだから俺が遠くに行っちゃうんじゃないかーとか思ったんでしょう?」
『………』
見透かされていた私はなにも言えない。
そんな私の頭に中村さんは手を置く。
「大丈夫。誰よりも俺はみくのことが1番大切だし、大好きだから。」
わしゃわしゃと頭を撫でられ、自然と私も泣き止み笑顔になる。
『ありがとうございます』
すると中村さんは眉間に皺をよせる。
「2人の時は、敬語禁止でしょ?」
『は、はい…じゃなくて、うん。ありがとう。』
言い終わると同時に再び抱きしめられる。