第2章 *ひみつの…【神谷浩史】
打ち上げがはじまって1時間弱。
もうすでに出来上がってる人もいる。
「誰が1番可愛い声出せるか対決ーっ!!」
「「イエーイ!!」」
と遠くで下野さんの声が聞こえた。
ふふっ、楽しそうだなあ
「もー、女の子じゃなぁーい!」
「「さすがー!!」」
やっぱり優勝は代永さんだろうな〜
「どう?楽しんでる?」
『あ、神谷さん。はい、楽しいです!』
声をかけてくれた神谷さんは、そのまま私の隣によいしょっと座る。
「あいつらほんと若いねえ」
と、下野さんたちの方を見ながら言う。
『ほんと、元気で楽しそうですよね!』
「みくちゃんはああいうノリ苦手なの?」
『へっ!?』
急に下の名前で呼ばれたから変な声が出た。
『う、うーん……苦手、ですかね…』
「そっか。見た感じ大人しそうだもんね。」
『いや、でも私仲のいい友人とかにはめっちゃ話すんですよ!
やっぱりまだ緊張しちゃう、というか…』
「俺は?」
『……?』
上手く聞き取れず、神谷さんの方を見る。
「俺は、その仲のいい人になれるかな」
じっと私をみつめる神谷さん。
『えぇっ!そんな、仲がいいなんておこがましい……
いやっ、仲良くなりたいです!そりゃ!もちろん!!』
急に問いかけられ、私はしどろもどろになる。
「じゃ、これから仲良くなれるようにがんばろっと」
そう微笑む神谷さん。
ううう、かっこよすぎて顔が見れない!!
「あ、そうだみくちゃん。」
『はい、なんでしょう?』
「明日ってあいてる?」
『明日ですか、えーっと、夕方からならあいてます!』
「そしたらちょっと付き合ってくれない?
まだ1話録り始めたばかりだけど、ちょっと練習したいことがあるんだ。」
『かっ、神谷さんの練習に私ごときが……』
突然の提案に驚く。
ていうか神谷さん絶対練習しなくても完璧だと思う。
ふふっと神谷さんが笑い、
「何言ってるの、優也の相手は美咲だけなんだから。付き合ってよ。」
優也と美咲は私たちの役の名前。
『そっ、そうですよね!私こそよろしくお願いしますっ!」
私は頭を下げた。
それからしばらくして、第1話収録の打ち上げはお開きになった。