第5章 本心と本音
※花巻
抱きしめたいと思った。
いや、既に抱きしめていた。
泣きながら必死に、想いを伝えている夜海が凄く愛おしくて、強く抱きしめた。
「俺も……。俺も好きだよ。ずっと前から。」
やっと、俺も気持ちを伝えられた気がした。
『……うそ………本当……に?』
「本当に。俺も夜海じゃないと嫌だ。」
そう言うと夜海はもっと泣き出した。
けれど、その顔には笑顔があった。
由紀ちゃんと話をつけてから、
夜海とはほとんど話さなかった。
もう、このままあと1年過して卒業するのかと思っていた。
でも、本当は
夜海の声が聞きたい。
笑った顔を見ていたい。
夜海に触れたい。
ずっと傍に……隣にいて欲しい。
そう思っていた夜海が今は俺の腕の中にいる。
嬉しすぎて少し涙が出た。