第6章 春と新しい日々
「という訳だ、頑張ってくれよ!」
ポンと肩を叩くまこっちゃんに私は言う。
『ひいき良くないと思いまーす!』
「そうだ、そうだー
まこっちゃんのえこひいき〜!!」
由紀も一緒になって言う。
「まこっちゃん言うな!ひいきもしてない!
ったく、俺は成績とかだけじゃなくて夜海の内面とかも評価して主将にしたんだから自信持てよ。」
まこっちゃんが私を信頼してくれてるのはおそらく真実だ。
けれど、新は先生とも、あまりに話さない。
聞かれたことに答え、わからないことを聞く。
余計なことは、聞かない。
それもあってか、まこっちゃんもあまりにしつこく新に言わないのだと思う。
「おっ!まこっちゃんが先生みたいないい事言ってる〜!」
「先生だっつーの。…石川、お前あんまり馬鹿にしたようなこと言うと担任の橋元先生に言うぞ?」
そういったまこっちゃんの眼鏡が少し光ったように私は見えた。
「うわー脅しだぁー!橋元先生、数学の担当だから目付けられたら成績に響くじゃん、」
「言われたくなきゃ、大人しく作品を描け。」
「うぅ…。」
由紀は数学苦手だからそこの弱みを握られると言い返せなくなるんだよねー。
私はそこまで苦手なことも成績に響きそうな弱みも無い。
『にしても、真琴先生、今日は部活来るの早いですね。いつもは、途中ちょろっと顔出すか、最後の方に来るかなのに。』
「まぁ、まだ新学期始まったばかりだしな、授業もほとんど進んでないし書類の整理が終わって手が空いたからな。」
『ってことは、次第に来なくなるってことですかー?
自分忙しいからって、部活を主将に任せっきりなのはどうかと…。』
「あーわかったわかった、今後も極力は部活見に来てお前にばかり任せないから、サッサと手を動かせ。」
『はーい。』
呆れ気味に行って、他の部員の方へ見に行った。